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900GTS(Gran Turismo Sport)


共通仕様77〜78年式79年式

・モデルの概要・
860GT(E)及びそれに続く500GTL(パラレル・ツイン)の失敗を受けて、ドゥカティ社は米国市場に再参入することを意図し、77年後半には、本質的に860GTSと同じであるが、新たに「900GTS」のモデル名を付与して発売した。

「900」のモデル名は、失敗した860GT(E)と異なるモデルであることを示そうとしているほか、他の860ccモデル(900SDダーマ及び900SS)に、この時点で「900」が指定されていたことに倣ったものである。

900GTSは、900SDダーマが「スポーツ・ツアラー」の役割を引き継いだため、その存在理由がなくなり、79年に製造中止となったが、ドゥカティ社のベベル・ツイン・モデルの中でも風変わりなモデルであり、総製造台数も692台に留まる。

・年式毎の特徴・
共通仕様

 ・フレーム等
900GTSのフレーム形式は「DM860S」が指定され、860GT(E)及び860GTSと同じシーケンスを使用している。

900GTSの米国仕様には、他モデルの米国仕様と同じくサイド・スタンドが取り付けられているが、これは左側のフロント・ダウン・チューブに装着されている。

クラッチ・レバー・ブラケットは860GTSと同様にブラックであり、またクラッチ及びブレーキ・レバーはポリッシュされたアルミ製であった。 クラッチ・ケーブルは、使いやすいアジャスター及びラバー製のカバーが付いたものであるが、GTS系の専用パーツではなくなり、750900SSにも同じものが採用されている。

900GTSには新しいブレンボ製のフロント・マスター・シリンダーが採用されている。 これは以前のように、一体型のユニットではなく、クリアのリザーバー・タンクがポンプ・ボディにねじ込まれ、ハンドルの奧に分離して取り付けられている。 ブレンボ製のブレーキ・キャリパーは、以前と同様に2つのブリーディング・スクリューを持っていた。

ベルリッキ製のハンドル・グリップは、860GTSと同じパーツ番号であるが、表面のパターンが異なっている。

ラダエッリ製のスチール・リム・ホイールに変更はないが、新しく20mm径のフロント・アクスルが採用されている(このフロント・アクスルは、後のベベル系モデルの標準となった)。 フロント・アクスルの右側にはトミー・バーは付いていないが、17mmのレンチで簡単に取り外すことができる。

その他は、リアのステンレス・スチール製マッド・ガードを除いて、860GTSから変更はない。 リア・マッド・ガードは大きなサイズになり、16mmのゴム・グロメットが装着された18mmの穴(ブレーキ・ラインのため)が開けられている。
 ・エンジン等
900GTSのエンジン番号も、フレームと同様に860GT(E)及び860GTSと連番である。 900GTSは、ドラム・リア・ブレーキ、スチール製リム・スポーク・ホイール及びバルブ・スプリング・エンジンを持つ、最後のベベル・ツイン・モデルとなった。
 ・電装等
900GTSのインストルメント・パネルには、スミス製またはベリア製のメーターが採用されるとともに(スミス製が多かった)、新しい4ポジションのイグニッション・キー及び5つのLEDワーニング・ライトが装着されていた。

860GTSまでは、ヘッド・ライト・ボディー内にフラッシャー・リレー及びエンジン・ストップ・リレーが入れられていたが、900GTSではボッシュ製エレクトリック・スタート・リレー及び新しい3本仕様のフューズ・ボックスとともにシート下に移動されている。

900GTSにはまた、新しいハンドル、クラッチ・ケーブル及びアジャスター、クラッチ・レバー及びサポート、スロットル及び改良されたCEV製スイッチが採用されている(これは米国仕様の900SSと同じである)。 ハンドルは860GTSと同じ、低く狭いものであるが、新しいスイッチの採用に伴い、ハーネスはハンドル内を通さず、外部に露出したままであり、これには新しいパーツ番号が付与されている。

左側のCEV製スイッチ・ボックスは、クラッチ・レバー・ブラケットと一体仕様ではなく、ミラーの取り付けサポートが付けられた分離したものである。 左側スイッチ・ボックスには、ライト・オン/オフ、ハイ・ロー/ビーム、ターン・インジケーター、ホーン及びヘッド・ライト・フラッシャー・スイッチが取り付けられている。

右側のCEV製スイッチ・ブロックは、メタルのトマゼリ製シングル・ケーブル・スロットルと一体であり、エレクトリック・スターター・ボタン及びエンジン・キル・スイッチが取り付けられている。 このパーツは900GTS固有のものであり、900GTSはCEV製スイッチを持つ唯一のエレクトリック・スタートのベベル・ツイン・モデルである。
・主要諸元・
フレーム形式DM860S
854070付近〜855070
エンジン形式DM860
854070付近〜855070
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.0:1
最大出力57PS/7200rpm
タイヤサイズ 前輪3.50H18
後輪120/90H18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア200mmドラム
ホイールベース1519mm
シート高779mm
全長2220mm
全幅737mm
重量217kg
ギア比 一次32/70
二次15/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHF32AD/AS
総製造台数542
(77年式242、78年式300)
77〜78年式

 ・フレーム等
77〜78年式900GTSは、860GTSから大きな変更はない。

当初、タンクには「DUCATI」バッジ、サイド・カバーには「900GTS」デカールが貼られていたが、サイド・カバー・デカールは、860GTSと同じように、すぐに「900」バッジと「GTS」デカールに変更された。
 ・エンジン等
この年式の900GTSのエンジンは、860GTSから大きな変更はない。 900SDダーマの製造に伴って行われた変更は、900GTSには適用されず、前年度までに製造された860/900GTSのプリ・アセンブル・ストックにより900GTSの製造が行われている。

従って、この年式の900GTSのエンジンのセレクター・メカニズムは、860GT(E)同様に右側セレクター・カバー内に位置し、エンジン後方のクロスオーバー・シャフトによって左側シフト化されるとともに、インナー・クランク・ケース・ウォール内にスターター・プレートがボルト留めされた、ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッション・システムが採用されていた。

6本のクラッチ・スプリングは、M5×12mmのスロッテッド・スクリューではなく、新しくM5×10mmのアレン・ファスナーによって留められている。
 ・電装等
750900SSには、旧いタイプのハーネスが使用されているが、900GTSではマルチ・コネクターを持つ新しいタイプのハーネスが採用されている。 このハーネスは、耐久性等が良好であった。

78年式の欧州仕様の60Wハロゲン・ヘッド・ライトは、アプリリア製から、ヘッド・ライト・リムの形状の異なるCEV製に変更された。 米国仕様のシールド・ビーム・ライトは前年式同様アプリリア製であるが、新しいブラックのヘッド・ライト・ボディーとなり、ハウジング内から全てのリレーが取り除かれた。

ターン・インジケーター及びレンズも、アプリリア製からCEV製に変更になるとともに、米国仕様のターン・インジケーターは、サイド・リフレクターがインジケーター・ボディーの一部となっている。
・主要諸元・
フレーム形式DM860S
855071〜855220
エンジン形式DM860
855071〜855220
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.0:1
最大出力57PS/7200rpm
タイヤサイズ 前輪3.50H18
後輪120/90H18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア200mmドラム
ホイールベース1519mm
シート高779mm
全長2220mm
全幅737mm
重量217kg
ギア比 一次32/70
二次15/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHF32CD/CS
総製造台数150
79年式

 ・フレーム等
この年式の900GTSのフレームは、ボッシュ製イグニッション・コイルが採用されたこと及びホーンの位置が変更されたことに伴い、前年式までとはブラケット等の位置及び形状が異なる。

79年式900GTSには、公式のパーツ・リスト等が存在しない。
 ・エンジン等
860/900GTSのプリ・アセンブル・ストックがなくなったことを受けて、エンジンは900SDダーマと同じ変更が行われている。

その他の変更点としては、キャブレターの変更及び、ボッシュ製WM7プラグの採用である。 デロルト製PHF32CD及びCSキャブレターは、リニアなジェッティング特性を持つとともに、シールされたエア・ミクスチャー・アジャストメント・スクリューが装着されていた。

77年式の900SDダーマに使用されたものと同じ、パイオリ製のメタル・フューエル・タップがこの年式の900GTSにも装着されていた。 これらはクリアのプラスチック製燃料フィルターを持ち、ブラックのプラスチック製カバーが取り付けられていた。
 ・電装等
この年式では、900SDダーマと同じボッシュ製のイグニッション・コイルが採用されるとともに、ベッリ製シングル・ホーンの搭載位置が変更されている。

79年式の900GTSは、900SDダーマに採用されたエンジン及びイグニッション変更が取り込まれ、860GT(E)以来のベベル・ツイン・モデルの中では「満足できる」仕様であった。






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