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900SS(Super Sport)


共通仕様75年式76〜77年式78年式79年式80年式81年式82年式

・モデルの概要・
1974年初頭、750GTに代わり、米国の規定を受けて「拡販モデル」と位置付けられた860GTが発売されるとともに、750S及びシングル・モデルの製造中止が決定され、前年に発表された限定モデルである750SS(ラウンドケース)を除いて、ドゥカティ社のラインナップからスポーツ・モデルが姿を消し、世界中のドカティストを落胆させた。

しかし、860GTの失敗が明白となり、スポーツ・モデルの必要性を痛感したドゥカティ社は、75年に新しい750SS及び900SSの発売を開始した。 これらのモデルは、新しいSSの計画を示していた73〜75年の860SSとは異なり、860GTと同じスクエア・ケース・エンジンを搭載していたが、スタイリング等を含めたその他の部分は74年式750SSとほぼ同様であるとともに、「スーパー・スポーツ」の名が示すとおり、デスモドローミックが採用されていた。

初期の900SSは、主としてオーストラリアのプロダクション・レース向けに製造されたが、市販市場の熱烈な歓迎を受け、それに応じるため年を追うごとに「市販モデル」としての熟成を深め、860GTGTSの販売不振を回復するドゥカティ社の救世主となった。

900SSの総製造台数は6323台である。

・年式毎の特徴・
共通仕様

 ・フレーム等
900SSのフレーム番号は、75年式で750SSと連番とされたほかは、76年式以降、「DM860SS 086001」から指定されている。 当初、750SSと同じシーケンスであったため、76年式以降の900SSのフレーム番号とエンジン番号には、250番程度の格差があり、後には900MHR及び900S2が同じフレーム番号シーケンスを使用したため、更に格差が広がっている。

外装のペイントは、通常のアクリル・ラッカーであり、78年式でペイントの品質が向上されたものの、製造期間を通じてデカールの上にクリア・コートは施されていなかった。

ブラックにペイントされた38mmマルゾッキ製フロント・フォークは、フォーク前方にブレンボ製ブレーキ・キャリパーをマウントするためのサポートを持っており、これらのフォーク・レグには、4本のボルトでフロント・マッドガードが取り付けられている。 また、フォーク・シール・カバー上のクロムメッキされたリングは、1つの小さな位置決めリングを持つ、通常のマルゾッキ・タイプである。
 ・エンジン等
900SSのエンジン番号は、新しく「DM860.1」が指定され、さらに「DM860」及び「DM860D」と続いているが、番号シーケンスは「086001」からの連番であり、クランク・ケース後方の「通常」の位置に刻印されている。 エンジン番号は当初、900SSの専用シーケンスであったが、79年には900MHRが、82年にはキックスタート仕様の900S2が同じ番号シーケンスを使用したため、フレーム番号とエンジン番号の不整合に更に拍車をかけている。

全てのスクエア・ケース・エンジンと同様に、クランク・ケースにピストン・サイズを示す「A」または「B」のアセンブリ番号は示されていない。 750SS及び900SSは、シリンダーは別であるが、同じクランク・ケースを使用しており、シリンダー・ベース・ガスケットも同じである。 また、750SSと900SSのシリンダー・ヘッドは、スキッシュ・バンドのマシニングが異なるのみであり、左側のカムシャフト・ベアリング・ハウジングを目視することで確認できる。

デスモドローミック・カムシャフトは、スクエア・ケースのカムシャフト・ギア・ドライブに適合させるため、キー溝の位置が74年式750SSとは異なっているが、プロファイルは同様であるとともに、インレット40mm及びエキゾースト36mmのバルブ径も同一である。

左側のエキゾースト・ヘッダーは、クランク・ケースを避けてグランド・クリアランスを確保するため、外側に出されるとともに、右側のエキゾースト・ヘッダーも、860GTとは異なるパーツが使用されていた。
 ・電装等
点火コードはブラックのプラスチック製のものであった。 メーターは以前と同様に、750S860GTSスタイルのプラスチック製カバーに入れられ、クランプで固定されている。
・主要諸元・
フレーム形式DM750SS
075412〜075907
エンジン形式DM860.1
086001〜086246
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.5:1
最大出力73PS/7900rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア229mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高770mm
全長2220mm
全幅676mm
重量190kg
ギア比 一次32/70
二次16/40
タンク容量20L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
総製造台数246
75年式

 ・フレーム等
860GTは米国市場を意識したものであったが、74年式750SSがそうであったように、初期の900SS及び750SSもまた米国の規制を考慮せずに製造されており、言うなれば75年式のSSは、技術者達がこれらの規定に従うより、その機能を最優先に設計した最後のドゥカティであった。

75年式900SSのフレーム番号は、この年式の特徴として750SSと同じシーケンスを使用しており、「DM750SS 075412」から始まっている。 75年式のフレーム番号のいくつかには、フレーム番号が5桁(通常は6桁)のものがあり、これらは番号の頭に通常刻印されている「0」が省かれている(フレーム番号を刻印する際に「忘れた」ためであると推測される)。 番号シーケンスは、74年式750SSとも同一であるが、75年式SSのフレームは、リア・マスター・シリンダー及びイグニッション・トランスデューサーのブラケットが異なっているほか、公式データでは、スイングアームが長く(460mm)、幅が広く(250mm)なっている。

20Lのファイバー・グラス製「イモラ」タンクは、クリア・ストライプがないことを除いて、3ポジションの燃料タップ及びグリーンのプラスチック製燃料ホースも含めて、74年式750SSと同様であるほか、外装関係はカラーリングを除いて同じである。 900SSのカラーリングは、ハーフ・カウルが750SSとは逆に、ブルーをベースにシルバーのライン・デカールが入れられている事を除き、750SSと同様である(カウル内側もブルーにペイントされている)。 タンク及びサイド・カバー上の「ジウジアーロ」ロゴは、後の年式とは異なりホワイト/ブラックであり、ホワイト/ブラックの「DESMO」デカールが、カウルの左右及びシート後方に貼られている。 ファイバー・グラスとペイントの品質は低く、特にタンクにおいては時間が経つにつれて燃料がファイバー・グラスに染み込み、ペイントを浮き上がらせる問題が発生した。

マルゾッキ製リア・サスペンションは、ブラックのスプリング及びプラスチック製トップ・カバーを持ち、74年式750SSと同様に見えるが、僅かに長くなり(310mm)、グランド・クリアランスが向上されている。 なお、75年式及び76年式SSのリア・サスペンションには、「Marzocchi」デカールは貼られていない。

ブレンボ製のフロント・マスター・シリンダーは、他のモデルのものと同様であり、クリアのフルード・リザーバーは持っていない仕様である。 リアのブレーキ・マスター・シリンダーは、74年式750SSのロッキード製と同様に、サイド・カバーの裏側にあるが、ラバー製ホースが短すぎるため(370mm)、ラバー製カバーを持つブレーキ・プレッシャー・スイッチはリア・マッドガードの下にはみ出している。 リアのブレンボ製キャリパー自体には、新しいアルミ製サポート・プレートが採用されていた。 この年式のSSは、右シフト及び左ブレーキであるため、ステップ及びリンケージは74年式750SSと同様である。

6mmのアレン・ファスナーで留められているクリップオン・ハンドル、ベルリッキ製のラバー・ハンドグリップ、小さなブラックのプラスチック製カバーが付けられたスロットル・ストップ・スクリューをボディー上部に持つトマゼリ製デイトナ・スロットル、ブラックのブレーキ及びクラッチ・レバーは、74年式750SSと同じものである。 クラッチ・レバーは以前と同様の丸い形状のものである(750Sのパーツであり、互換性がある)が、ブレーキ・レバーは角張ったブレンボ・タイプであった。
 ・エンジン等
75年式750SS及び900SSのエンジンのベースは、スクエア・ケースの860GTであるが、900SSのエンジン番号は「DM860.1 086001」から新しく付与されている。 「.1」の刻印は、SSのエンジンを他のものと区別するため、またエンジンがレースのホモロゲーションのために製造されたことを示すために行われているが、750SSとは異なり、900SSは市販モデルとして熟成されていったため、75年式及び76年式の初期までしか「.1」の刻印はない。 フレーム番号が750SSと共用であるため、900SSのエンジン番号とフレーム番号には、250番程度の格差がある。

SSの製造開始は860GTの数ヶ月後、860ccモデルのエンジン番号「851683」以降なので、2線式の200Wオルタネータ及び4ダイオード18Aレギュレータが採用されているほか、860GTで2回目に行われた、クラッチ及びプライマリー・ドライブの変更が適用されている(860モデルのエンジン番号では「851193〜852178」の変更内容)。 このクラッチ・ハウジングには、25×42−12mmの2つのベアリングが使用されている。

SSのクラッチは、860GTとは異なっており、750GT及び750Sと同様、全ての8枚のフリクション・プレート及びドライビング・プレートは各々同じものであり、860GTGTSに採用されたような、曲がったタグを持つプレートは使用されていない。 クラッチ・メカニズム全体は、76年式以降で使用されたものと異なり、ラウンド・ケース・モデルと同様である。

レイ・シャフト及び5速ギアの変更も、SSで初めて行われたが、すぐに860GTGTSにも採用されている。 また、ファイナル・ドライブ・ギア比は、16/40である。 ギア・シフトは、クロスオーバー・シャフト及びリンケージを介した860GTのものより、操作性は良好であった。 セレクタ・メカニズムは右側ケース内にあったので、スクエア・ケースの左シフトを右にするのは容易であり、単に750モデル用のギア・シフト・スピンドルを取り付け、クラッチ・カバーに開いたクロスオーバー・シャフト用の穴にプラグを被せたのみである。

75年式SSのエンジンには、860GTに採用された短いコンロッド及びシリンダーが使用されており、74年式750SSのような削り出しのコンロッドは採用されていない。 コンロッドは鍛造品であったが、他の860ccモデルとは異なり、ビッグ・エンド・アイの周辺に2重の強化リブを持っていた。 これらは削り出しロッドよりも僅かに重く、各々440gである。 ビッグ・エンド・ベアリングは860GTと同じく、ケージ型の5mmローラーであり、クランク・ピンの径は36mmであるとともに、スモール・エンドは20mmである。 フライホイールは、イグニッション・マグネットを含む860GT用のものであり、70歯のプライマリ・ギアにボルト留めされていた。

900SSのピストンは、860GTと同様に、ボルゴ製の鍛造ピストンが使用されているが、860GT用のものより軽量に仕上げられているほか、圧縮比が僅かに高められている(9.65:1)。 また、ポリッシュされたオープニング/クロージング・ロッカー(クロージング・スプリングを含む)及びシリンダー・ヘッドについては、74年式750SSと共用されている。

75年式SSは限定モデルだったので、インレット・マニホールドはスチール製であるとともに、74年式750SSと同じくデロルト製PHM40AD/ASキャブレターを採用しているが、これにはティクラー仕様とチョーク仕様の両方が存在する。 この年式付近における他のモデルと同様、キャブレターのアルミ製フロート・ボウルはポリッシュされていた。 また、キャブレターには、メタル製メッシュが装着されたプラスチック製のベル・マウスが取り付けられているほか、エア・フィルターは装着されていない。

スクエア・ケース・エンジンの幅は、ラウンド・ケースより広いので、より長いキックスタート・シャフトが必要とされ、SSではこれに新しいキックスタート・レバーを組み合わせた。 これは75年式SS独自のパーツであり、パーツ・リストには掲載されていない。 しかし、このデザインは不十分であり、キックを一杯に広げたとき後方まで回ったので、キックするとシフト・レバーに当たり、エンジンが始動すると直ちに1速に入るという不具合を発生させた。
エンジンの下半分は、オイル・ポンプ、カムシャフト・ギア・ドライブ及びドゥカティ・エレクトロニカ製イグニッション・システムも含めて、860GTと同じである。 クランク・ケースのブリーザー・システムは、74年式の750SS及びいくつかの74年式750Sと同様、ブラックのプラスチック製ホース及びフラッパー・バルブで構成されていた。

75年式SSには、ラウンド・ケースの750ccモデルと同じ「ショート・ステー」のコンチ・マフラーのみが装着され、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートもラウンド・ケースの750SSと同じく、「DM750SS E3 9R−11872」が指定されている。 エキゾースト・ヘッダーはシングル・パイプであるが、初期の750ccモデルとは互換性がない。 また、「Conti」と刻印されたマフラー・クランプも変更されている。 これらは8mmのアレン・ヘッド・ファスナーを使用していたが、フロントには径の小さい「R」クランプが使用され、750ccモデルに使用された径の大きい「M」タイプは、リアのみに使用されている。 これは、バランス・パイプとヘッダー・パイプを確実にシールするためである。
 ・電装等
この年式のSSには860GTと同様、ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッション・システムが採用されたが、その大きな進角特性(最大35−38度)のため信頼性が低く、ビッグ・エンドのトラブルを引き起こした。

全ての75年式SSは、5月20日以前に製造されているので、エンジン・ストップ・リレーの改良を受けておらず、他の2つのリレーがヘッドライト・シェル内に位置しているのに対し、エンジン・ストップ・リレーはタンクの下に設置されている。 雨の中を走行する際に問題が発生したため、その後リレーは改良されたが、何の改造もなくバッテリー・レスでエンジンを動かすことが出来るという利点があった。 エンジン・ストップ・リレーとイグニッションを除いて、ワイヤリングは本質的に74年式750SSと同じである。 750スタイルの4ピン2ポジションのイグニッション・スイッチは、左側のシートとタンクの間に取り付けられるとともに、シート下のアプリリア製ヒューズ・ボックスは860GTとは異なり4ヒューズ仕様であった。

プラスチック製のインストルメント・パネルもまた、ラウンド・ケースの750SSと共用である。 この年式のSSにはスミス製のメーターのみが採用され、右に250km/hのスピード・メーター、左に8000rpmレッド・ラインのタコ・メーターが取り付けられている。 74年式750SSとは異なり、この年式には英国向けに「マイル表記」のスピード・メーターが取り付けられているものもある。 インストルメント・パネルには「Gen」、「Beam」及び「Lights」の3つのインジケータがある。 ライト/パーク・スイッチは、インジケータの下にあり、これらは以前の750SSのように、ホワイトの細い線で囲まれていた。

スイッチ類は、そのまま74年式750SSのものである。 71年式750GT(それ以前にシングルにも)に採用された、クロムメッキされた小さなハイ/ロー・ビーム及びホーン・スイッチが、左側ハンドルに取り付けられているとともに、3ポジション・ライト・スイッチは、インストルメント・パネル上に取り付けられていた。

750Sに採用された、アプリリア製170mm「JOD」デュプロ55/60Wハロゲン・ヘッドランプが使用され、これにはクロムメッキされたシェル内に、2つのリレー(インジケータ及びヘッドランプ)及び3Wのパーキング・ランプが装着されている。 テールランプは、小さなCEV製レンズを持つ欧州仕様のCEV製のものであり、シルバーにペイントされたテールランプ・ハウジング及びブラケットを介して取り付けられていた。 また、ホーンはベッリ製のシングル・ホーンである。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
086001〜087653
エンジン形式DM860.1
086247〜086506
DM860
086507〜087899
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.5:1
最大出力73PS/7900rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア229mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高770mm
全長2220mm
全幅676mm
重量190kg
ギア比 一次32/70
二次15/36
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
総製造台数1653
(76年式1020、77年式633)
76〜77年式

 ・フレーム等
860GTが世界中で壊滅的なセールスを記録している間、ディーラーはSSを熱望していた。 これを受けてドゥカティ社は、75年式SSが「合法」だった国だけではなく、世界中で販売できるように、SSに大きな変更を行っている。 ドゥカティ社は、それ以前の2年間に重大な失敗をしたが(特に860GTとパラレル・ツイン)、これが幸いして、76年の変更においてもSSの「理念」は保たれることとなった。

76年にはフレーム番号は、750及び900SSで異なるようになった。 900SSのフレーム番号は、新しく「DM860SS」が指定されて、「086001」からシーケンスが開始されている。 フレーム番号の変更に伴い、フレーム・ホモロゲーション番号も860GTと同じく、「DGM 13715 OM」となった。 フレームの寸法等は、本質的に75年から変更はないが、76年式ではマフラーを取り付ける2つのブラケットが変更され、これらはフレーム右側にリア・ブレーキ・マスター・シリンダーを取り付けるため、より垂直に傾けられている。

新しく750Sのものと形状が類似している18L容量のスチール製タンクが採用され(グラス・ファイバー製イモラ・タンクはオプション)、これには新しいデカールが貼られている(ブルーのジウジアーロ・スタイル「DUCATI」デカール及びブルーのストライプ)。 タンクは以前の緩いラバー製パッドではなく、フレーム・チューブ上の専用のラバー製ブロックを介して、フレーム上に固定されていた。 タンクのブラケットは高くなり、フレームにはタンクを取り付けるため、2ポジションのボルト穴が開けられている(1つは新しいスチール製タンク用、もう一つは以前のイモラ・タンク用)。 また、エア・クリーナーを取り付けるため、新しいブラケットが追加されている。 フレームのペイントは、以前と同様にシルバーであった。

サイド・カバーの「900 Super Sport」、シート及びマッドガードのデカールには変更はない。 フロント・カウルには、ターン・シグナルのための切り欠きが施されるとともに、形状が以前のものより僅かに狭く、高くなった。 スクリーンは以前と同様であるが、77年にはエッジにブラック・クロム・テープが追加されている。 スチール製タンクは、グラス・ファイバー製よりも短いので、それに合わせてシングル・シートは長くなり、シート・パッド前方が僅かに上がっている。 ジッパー式の小物入れは以前と同様であり、シート下にはエンジン・ブリージング・キャッチ・タンクがボルト留めされ、リアのエア・フィルター・ボックスに接続されており、これ以降、SSのクランク・ケース・ブリーザーは大気開放ではなくなった。 また、77年には、デュアル・シートとタンデム・ステップがオプションとなった。 これには、ロック可能なリアの小物入れがあるほか、76年及び77年式のデュアル・シートには、ベースの周りにプラスチック製のガスケットが取り付けられている。

ボラーニ製ホイール、穴開け加工された鋳鉄ディスク及びブラックにペイントされた38mmマルゾッキ製フロント・フォークには変更はないが、新しいリア・サスペンションが採用されている。 リア・サスペンションには小さなレッドの「Marzocchi」デカールが貼られ、プラスチック製のトップ・カバーがなくなり、代わりにスチール製プレートを持っていた。

新しいブレンボ製リア・マスター・シリンダーは、右側マフラー・ブラケットに取り付けられているが、リア・キャリパーはリア・ホイールの左側に位置しているため、これまでより長いラバー製ブレーキ・ホース(650mm)が必要となった。 76年式SSでは、リザーバー・タンクがクリアでないブレンボ製フロント・マスター・シリンダーを採用していたが、77年にはクリアのリザーバー・タンクとなり、以降、SSの製造終了までこの仕様である。 これらのクリア・リザーバーを持つマスター・シリンダーは、ハンドルに近づけるため、窪んだボディーを持っていた。 クラッチ及びブレーキ・レバーはブラックであったが、クラッチ・レバーは、ブレンボ製ブレーキ・レバーに合わせて形状が変更されている。 これは少し角張った形状であるが、パーツ番号は以前と同じである。

ステップは可倒式でラバーが取り付けられたものとなり、スイングアーム・ピボット付近のフレームの「ギザ」上に、750及び860GTのように装着された。 このステップは、以前と同じ場所に取り付けることができ、その場合、ライディング・ポジションは以前と同様である。

クリップ・オン・ハンドルは、以前と同じ形状及び角度であるが、これらは六角ボルト及びナットで取り付けられている。 クロムメッキされたトマゼリ製スロットルは、スロットル・ストップ・スクリューが上部から下に移されたが、パーツ番号は同一である。 76年式では、ベルリッキ製のハンドグリップは以前と同様であるが、77年には新しいものが採用されている(パーツ番号は同一)。
 ・エンジン等
76年式900SSの、最初の280台のエンジン番号は、「DM860」の後ろに「.1」の刻印が入れられているが、それ以降は省略されている。 900SSにおいて「.1」がなくなった理由は、それまでは限定生産であったが、シリーズ・プロダクションに移行したためであると考えられる。

この年式のエンジン仕様は、75年式から大きな変更はない。 ほとんどの変更は、米国の左シフト及び一般的な騒音規制に対する「静かなマフラー」といった国際的な規制に、SSを対応させるために必要なものであった。

ギアの変更は、この年式における最も大きな変更である。 860GT及びGTSに倣い、ギア・シフトはリンケージ及びクロスオーバー・シャフトを使用して左側に移動されたため、シフトの精度は低下している。 また、75年式のキックスタートの問題に対処するため、新しい形状のキックスタート・レバーが取り付けられている。 これは「自動」ギア・シフトを解消したが、以前と同様に強度は低かった。 さらに、キックスタート・シャフト・ギアも36歯のものに変更されている。

クラッチ・ハウジングは、25×47×12mm及び25×52×15mmの2つの異なるサイズのベアリングを持つ、860GTSと同じもの(エンジン番号「852178」からの3回目の変更)となった。 860GTSと同じく、新しいクラッチ・ドラムが採用されているが、クラッチ・プレートは75年式SSと同様、曲がったタグのない仕様である。

76年式初期のSSは、75年式と同様のポリッシュされたバルブ・ロッカーを持っていたが、すぐに通常の鍛造品となった。 860GTSと同様に、900SSのカムシャフト・ベアリング・ハウジングの「860」の鋳込みは省略されている。 また、クランク・シャフトは、ビッグ・エンドに5mmローラー・ベアリングを持ち、36mmのクランク・ピンを使用していた。

仕様の大きな変更は、キャブレター及びエキゾースト・パイプ関係である。 加速ポンプ付きのデロルト製PHM40Aキャブレターは、エア・クリーナー及びチョーク機構を持つデロルト製PHF32Aキャブレターに変更された。 ホワイトのプラスチック製チョーク・レバーは、860GTGTSのようにハンドルやヘッドライト・ブラケットには取り付けられず、タンク下の左側リア・ダウン・チューブに小さなブラケットを介して取り付けられていた。 40mmキャブレターはオプションとして用意されたが、全てにチョーク・メカニズム及びプラスチック製ベル・マウス(メタル製ではなく、プラスチック製のメッシュを持つ)が取り付けられていた。 32mm及び40mmキャブレターの両方とも、フューエル・バンジョー・ジャンクションがアルミ製からホワイトのプラスチック製となり、フロート・ボウルもポリッシュされたものではなくなった。 乾式のエア・フィルターは、32mmキャブレター仕様のみに取り付けられたが、860GTに採用されたものと同様であり、2つのメタル製ボックス(フレームに合わせてシルバーにペイントされている)及び堅いプラスチック製のエア・インテークを持っている。 なお、シリンダー・ヘッド及びインレット・ポートは変更されていないので、32mmキャブレター仕様のSSに対して、40mmキャブレターをボルト・オンで取り付けることができる。

コンチ製マフラーは、750GTに初めて採用されたときでさえ、ほとんど合法すれすれだったため、SSにはより静かなマフラーが必要とされたが、利用可能な「静かなマフラー」は、860GTに採用されたラフランコーニ製しかなかったので、SSにもこのマフラーが取り付けられた。 しかし「小さいキャブレター」及び「静かなマフラー」を弁解するかのように、ドゥカティ社はSSの出荷時、大きなキャブレター及びマニホールド、並びにコンチ製マフラー(オプション)を同梱して出荷していた。 コンチ製マフラーは、3つのディンプルを持つ、長く大きなブラケットが装着され、更にスイングアームを避けるために11.5×20×10mmのスペーサーが入れられた。 このマフラーには「Conti」の刻印と8mmのアレン・ファスナーを持つ、初期のコンチ製クランプを使用することができたが、ほとんどがラフランコーニ製マフラーの仕様であったため、取り付けられた例はまれである。 ヘッダー・パイプは新しくなったが、全てのSSのヘッダー・パイプは860GTと同じパーツ番号を持つ。 750SSのサイレンサー・ホモロゲーション・プレートは以前と同様であったが、900SSは「DM860S E3 9R−13716」に変更された。

インレット・マニホールドはスチール製ではなく、アルミ鋳物製となったほか、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートは、左シフト化のリンケージのため、それが取り付けられていたフレーム右側エンジン・マウントの間が切り取られたので、右側サイド・カバーの下、ブレーキ・ペダルの上に移動された。
 ・電装等
ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッション・システムは前年式と同様であるが、点火時期の仕様が変更され、900SSの最大進角は32−34度となった。 また、イグニッション・トランスデューサーはタンク下に移動されるとともに、レギュレータは右側サイド・カバーの裏側のリア・フレーム・ダウンチューブに取り付けられている。

この年式における大きな変更の一つは、前後にターン・インジケーターが取り付けられたことである。 アプリリア製のターン・インジケーターは、プラスチック製のボディーであり、内部にサイド・リフレクターが装着されていた。 米国仕様のSSは、CEV製のターン・インジケーターが取り付けられ、形状もアプリリア製のものとは異なっている。 リアのインジケーターは、シルバーにペイントされた小さなCEV製テール・ライト・ブラケットに取り付けられている。 また米国仕様では、クロムメッキされたスチール製のブラケットに、大型のテール・ライトが取り付けられていた。 このCEV製テール・ライト自体は、860GTに取り付けられたものと同じである。

また、イグニッション・スイッチは新しく「parking、stop及びon」の3ポジション・スイッチとなり、伝統的なタンクとシートの間から、インストルメント・パネル上に移動された。 左側フレームのシート及びタンクの下にある、以前のイグニッション・スイッチのためのブラケットは、キーのための穴は開けられていないが、以前と同じ「逃げ角」で取り付けられている。

76年式のインストルメント・パネルには、以前と同様に3つのインジケーターがあり、細いホワイトのラインで囲まれていた。 77年式ではこれに代わり、5つ(Gen:レッド、Hi:ブルー、N(ニュートラル):グリーン、L(ライト):グリーン、<−>(ターン):イエロー)のインジケーターを持つ新しいインストルメント・パネルが採用されているが、このインストルメント・パネル上の「細いホワイトのライン」は、インジケーターの周囲のみであり、76年式と同様である。

76年式のパーツ・リストではスミス製メーターが標準に指定されており、通常、スピード・メーターが右、タコ・メーターが左に取り付けられている(パーツ・リストでは逆になっている)。 しかし、77年初期のメトリック仕様SSのいくつかは、ベリア製のメーターを採用しており、240km/hスピード・メーター及び8500rpmレッド・ラインのタコ・メーターが取り付けられていたが、750Sで使用されていたものよりレッド・ラインが高くなったため、これらには新しいパーツ番号が付与されている。 また77年式の米国仕様のSSは、150mphのスミス製メーターを使用していた。

右側シフト、コンチ製マフラー及びファイバーグラス製タンクのように、クロムメッキされた小さなアプリリア製ライト及びホーン・スイッチは、特に米国で販売しようとした場合に規制に対応できなかった。 ドゥカティ社はスイッチ類について、アプリリア社と提携していたので、アプリリア社はSSのために、ホンダ車に取り付けられた日本電装製タイプをモデルとして、新しい左側スイッチ・ブロックを製造した。 このスイッチ・ブロックはブラックのプラスチック製で、以前のタイプよりもかなり洗練されており、3ポジション・ライト・スイッチ(off、parking、lights)、ハイ・ビーム/ロー・ビーム・スイッチ、ホーン、ヘッドランプ・フラッシャー及び左右ターン・スイッチを持っているほか、ホワイトで文字が入れられている。 これらのモデルには、エンジン・ストップ・スイッチは装着されていないが、初期のモデル及び860ccモデルに取り付けられた「扱いづらい」CEV製スイッチより、かなり改良されていた。 77年式以降は新しいハンドル・スイッチが採用され、これらは最終型の900GTSと同じである。 これには3ポジション・ライト・スイッチ(米国仕様は2ポジション)、ハイ/ロー・ビーム、ホーン/ヘッドランプ・フラッシャー及びターン・インジケーター・スイッチが取り付けられていた。 76年式と異なり、右側ハンドルには「単体」のCEV製エンジン・ストップ・スイッチが後付で取り付けられている。

76年式のヘッドライトは以前と同様、アプリリア製55/60W「JOD」デュプロであったが、ヘッドランプ・シェルはクロムメッキではなく、ブラックであった。 ヘッドランプ・シェル内の配線は、860GT及びGTSの2番目の変更と同様である。 エンジン・ストップ・リレーはヘッドランプ・シェル内に取り付けられるとともに、配線には「マルチ・プラグ」コネクタが使用されていた。 77年式以降の欧州仕様のヘッドライトは、76年式と同様であるが、米国仕様では3Wパーキング・ライトのない、アプリリア製12Vシールド・ビーム・ライトが取り付けられている。 配線は、860900GTSにおける3番目の変更に従い、3ヒューズ仕様のヒューズ・ボックス(76年式は前年式同様の4ヒューズ仕様)及び、より多くのマルチ・プラグ・コネクターが使用されている。 ヘッドランプ・フラッシャー及びエンジン・ストップ・リレーは、ヘッドライト・シェル内ではなく、ヒューズ・ボックスのあるシート下に移動された。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
087654〜088690
エンジン形式DM860
087900〜088936
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.5:1
最大出力73PS/7900rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア229mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高770mm
全長2220mm
全幅676mm
重量188kg
ギア比 一次32/70
二次15/36
15/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
総製造台数1037
78年式

 ・フレーム等
78年式900SSは、2つのバージョンがあり、一つはボラーニ製スポーク・ホイールを持つ、通常のブルー/シルバーにペイントされたもの、もう一つは特に英国市場に向け、スピードライン製のマグネシウム・ホイールを持つ、ブラック/ゴールドにペイントされたものである。 これはボラーニ製ホイールを持つ、最後の900SSである。

フレームは、前年式までとほぼ同様であるが、ボッシュ製イグニッション・コンポーネント及び改良されたステップを取り付けるため、以前とは異なるブラケットを持っている。 ステップ及びフット・レバーは、74〜75年式SSのスチール製のものに類似していたが、可倒式であるため以前のものとは互換性がない。 ステップを取り付けるネジの精度が良好であるため、可倒式ステップの脱着は容易である。 新しいリア・ブレーキ及びギアシフト・レバーは、クロムメッキされたスチール製ではなくアルミ製であった。 70年代後期のドゥカティに特徴的であるが、ギア・シフト及びブレーキ・リンケージの一方の端には通常の「抜けやすい」U字ピン、もう一方にはボール・ジョイントが使用されている。

スチール製タンク及びデカールは、76〜77年式から変更がないため表面的には同じに見えるが、以前のペイントよりも品質と耐久性が向上されている(ただしアクリル・ラッカーのままである)。 また、タンク上の「Made in Italy」デカールは、貼られているものといないものの両方が存在する。 この年、900SDはパイオリ製燃料タップが変更されたが、SSでは以前のタイプが使用されるとともに、スチール製タンクを支えるため、2つのフレーム・ラバーが追加されている。

ほとんどの78年式900SSは、施錠可能なツール・ボックスを持つデュアル・シートが取り付けられているが、シングル・シートもオプションとして準備されていた。 デュアル・シートは、76〜77年式と異なりシート・ベースの周りにプラスチック製ガスケットを持っていないが、シングル・シートにはガスケットが装着されている。

ファイバーグラス製のフロント・カウル及びフロント・マッドガードは、形状が少し変更され、フロント・カウルは狭く、高くなるとともに、フロント・マッドガードは、やや丸い形状となった。 また、SSが発売されて初めて、フロント・カウルにマウントされるバック・ミラーが装着された。

ブラックのスプリングを持つ、マルゾッキ製310mmリア・サスペンションは前年式と同様であるが、これらは新しいブッシュ及びサイレント・ブロックを持っていた。 これらには楕円形のレッドの「Marzocchi」デカールが貼られている(パーツ・リスト未掲載)。 900SDと同様に、フロント・アクスル右側にはトミーバーはなく、17mmの六角レンチを使用する。 M16×1.5mmのアクスル・ナットは、ナイロックとなった。

ブラック/ゴールドのモデルは、カラー、ホイール、リア・ブレーキ及び燃料タップを除き、シルバー/ブルーのモデルと同じである。 フレームはブラックにペイントされ、エア・フィルター・ボックスもそれに合わせられたが、チェーン・ガードはステンレス・スチール製であった。

シルバー/ブルーのモデルに装着されているボラーニ製リム及び鋳造ハブは、ブラック/ゴールドのモデルでは当時900SDに採用されていたスピードライン製マグネシウム・ホイールに変更された。 フロント・ホイールは、以前と同じサイズ(WM3×18インチ)であったが、リア・ホイールは僅かに太くされ、WM4×18インチとなった。

スピードライン製ホイールは、4スタッドのディスク・マウントを持っていたが、リアのサイズ変更に伴い、リア・ディスクは280mmに大きくされている(スポーク・ホイールのモデルでは、以前と同様である)。 全ての鋳鉄ディスクには穴開け加工が施されるとともに、リア・ディスク径の増加に伴い、ブレーキ・キャリパー・サポート・プレートが大きくされている。 また、スピードライン製ホイールには、36歯のスプロケットのみが使用された。

マグネシウム・ホイールへの変更は、実際には「見た目」を意図したものであり、軽量ではあったが品質的には満足できるものではなかった。 スピードライン製(及び初期のカンパニョーロ製)ホイールは、劣化と腐食に対して耐久性が低く、凹凸の激しい路面状況には適していない。

ブラックにペイントされたスチール製タンクには、プラスチック製の燃料フィルターを持つ、新しいパイオリ製のプラスチック燃料タップが装着されている。 これらはアタッチメントに雌ネジが切ってあり、以前のタイプとは互換性がない。

ブラック/ゴールドの900SSでは、その他、マルゾッキ製フォークに取り付けるダスト・シールが新しくなり、以前より柔らかいラバーで作られるとともに、形状が少し変更されている。 このダスト・シールは、マルゾッキ製フォークを持つ全てのドゥカティに取り付け可能であり、パーツ番号も以前と同一である。
 ・エンジン等
78年における大きな変更は、900SDのイグニッション及びギア・シフトの改良が取り込まれたことである。 当初、この改良は900SSのみに行われ、同年式の750SSは、前年と同じであった。 これらは信頼性の高いエンジン及びエレクトリック・システムを持っていたが、スタイルは以前のままである。

エンジン・ケースは、900SDと共用であり、従ってギア・シフト及びセレクター・メカニズムは、左側のクラッチ・バスケットの裏側に位置している。 右側の後部エンジン・カバーも900SDと共用とされ、この内部にはセレクター・アジャスト機構等は設けられていない。 これはセレクター・シャフトがなく、外部セレクター・アジャスト・メカニズムがないことから、容易に確認できる。 また、左側クランク・ケースの前方エンジン・マウントから、イグニッション・ワイヤーのためのプラグがなくなり、全てのイグニッション・リードは、新しいクラッチ・カバーに含まれている。 クラッチ・カバーには、イグニッション・ピックアップを点検するため、M24×1.5プラグが取り付けられた。

プライマリー・ドライブ・ギアとクラッチも、900SDと同様である。 全ての78年式900SSには、15歯のカウンターシャフト・スプロケットが採用され(16歯はオプション)、これに36または38歯のリア・スプロケットが組み合わされている。 38歯のスプロケットは、かなりのアンダー・ギアである。 前年式までの全てのSSは、各8枚のドライビング及びドリブン・ディスクは、それぞれ同じものであったが、この時点で1枚のインナー・ドリブン・ディスクは曲がったタブを持つとともに、最も外側のドライビング・ディスクも、内側に曲がったタブを持っている。 クラッチ・スプリングは、M5×12ではなく、6本のM5×12アレン・スクリューで固定されている。

900SDにおけるクランク・シャフトの改良は、78年式900SSにも適用された。 初期の900SDと同様、初期のクランク・シャフトは36mmのクランク・ピンを持つクランク・シャフト・カウンターウェイトが使用されていたが、新しいビッグ・エンドは、38mmのピン及び23個の3×17mmローラーを使用している。 従って、エンジン番号「088026」までは、ビッグ・エンド・アセンブリに36〜38mmのステップ・ピンが使用されているが、エンジン番号「088027」以降、クランク・シャフト・カウンターウェイトは、38mmのストレート・ピンを使用している。 また、クランク・シャフト右側のオルタネーターは、900SDタイプに変更された。 ドゥカティ・エレクトロニカ製のイグニッションは、ボッシュ製に変更されたが、プライマリー・ドライブ・ギア内部のクランク・シャフト上には、通常のスチール製フライホイールを取り付けることができた。 エンジン番号「088318」まで、フライホイールは750GT/S/SSタイプの重いものであったが、エンジン番号「088319」以降、幅が狭く、軽いものになった。

シリンダー・ヘッドの変更は、マイナー・チェンジのみである。 バルブ・ガイドには、異なる熱価を持つ新しいOリングが採用され、カムシャフト・ベアリング・サポートは、900SDタイプとなったほか、900GTSで、カムシャフト・ギア・サポート・プレートが変更されたことを受けて、SSにも新しいプレートが採用されている。

以前と同様、デロルト製32mm及び40mmキャブレターの両方が指定されていたが、多くのSSには32mmキャブレターが標準に指定されている。 また、ほとんどの78年式SSには、ラフランコーニ製マフラーが装着されていたが、長いブラケットを持つコンチ製マフラーもオプションとして準備されていた。 エキゾースト・ヘッダーは、860GTのパーツ番号を持つものが使用されている。
 ・電装等
この年式では、900SDと同様に、ボッシュ製イグニッション・システムが採用されている。 ボッシュ製イグニッション・システムは、ドゥカティ・エレクトロニカ製のように自己発電をしないため、78年式900SSは、バッテリーなしでエンジンを動かすことができないが、ボッシュ製システムは多くの利点を持ち、特に4段階の進角を持つ穏やかなアドバンス・カーブは大きな利点であった。 最大進角は、以前の最小進角と同じであり、4000rpmで32度である。

点火コード及びプラグ・キャップは以前と同様であるが、78年末頃のいくつかのSSには、品質が悪くてリークを起こすプラグ・キャップが使用されており、特に雨天走行における信頼性が低かった。 なお、米国仕様を除き、エンジン・ストップ・リレーは取り付けられていない。

78年には、インストルメント・パネルに4度目の変更が行われた。 マイル表記のメーターはスミス製であったが、全てのkm/h表記のメーターはベリア製(240km/h)となり、レッド・ライン8500rpmの機械式タコ・メーターと併せられた(パーツ・リスト未掲載)。 以前と同様、インストルメント・パネルには5つのインジケータ及び3ポジションのイグニッション・キーが取り付けられているが、77年式とは異なり、細いホワイトのラインは、インジケータ及びキーの両方を囲んでいる。

ハンドル、スロットル・ストップ・スクリューが下にあるトマゼリ製メタル・スロットル、ベルリッキ製ハンドグリップ、ブラックのブレーキ及びクラッチ・レバーは、77年式から変更はない。 SSにはエレクトリック・スタート・モデルが存在しないため、ボッシュ製及びCEV製エレクトリック・システムに対しても、ユアサ製「12N 12A−4A−1」バッテリーが使用されている。 左側ハンドル・スイッチは、77年式と同じCEV製であり、配線は最終型の900GTSと同様であった。

欧州仕様のヘッドライトは、900GTSと同様に、アプリリア製からCEV製の55/60Wハロゲンに変更された。 これは、以前とは異なる形状のヘッドライト・リムを持つとともに、通常のプラスチック製ビードが装着されている。 77年式の米国仕様900SSを受けて、全てのテール・ライトがクロムメッキされたメタル製ブラケットに取り付けられた、大型のCEV製レンズが標準となった。 フロント及びリアのターン・インジケータもCEV製であったが、900SDに採用されたものと同じである。 また、フラッシャー・リレーは、シート下の3ヒューズ仕様のヒューズ・ボックスの傍に取り付けられていた。

ベッリ製のシングル・ホーンに変更はないが、ボッシュ製の2つのイグニッション・コイルを取り付けるため、取り付け位置がフロント・ダウンチューブの前方に移動されている。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
088691〜089704
エンジン形式DM860(D)
088937〜090150
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.3:1
最大出力73PS/7800rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25/85V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア280mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高838mm
全長2210mm
全幅691mm
重量205kg
ギア比 一次32/70
二次15/36
15/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
デロルトPHF32CD/CS
総製造台数1014
79年式

 ・フレーム等
79年式900SSは、4つのブレーキ・ディスク穴を持つスピードライン製マグネシウム・ホイール及びブラック/ゴールドの仕様のみが製造されている。 フレーム及び外装等は、78年式と同様(ブラックにペイントされたフレーム、シングルまたはデュアル・シート、CEV製スイッチ及びベリア製メーター)である。

タンクには最終型900GTSと同様に、77年式900SDに取り付けられた燃料タップが取り付けられている。 また、79年後半の900MHRの発売に併せ、いくつかのSSには上部トリプル・クランプをまたいで、アルミ製のアッパー・カウル・サポートが装着されている(パーツ・リスト未掲載)。 これはステアリング・ヘッド・ボルトに取り付けられたので、以前のSSの特徴であったフリクション式ステアリング・ダンパーを取り付けることはできない。
 ・エンジン等
エンジンの仕様は前年までと同様であり、当初はデロルト製32mmまたは40mmキャブレター及びラフランコーニ製マフラーが装着されていた。

この時期、生産ラインの統合が図られているため、いくつかのエンジンは900SDSSDのエンジンの特徴である、「DM860」の上に「D」の刻印がある。 900MHRと900SSのエンジンが共用(エンジン番号も同じシーケンス)されたので、エンジン及びフレーム番号の格差は更に広がっていった。 更に紛らわしいことに、エンジン番号は共有されたが、900MHRのフレーム番号は異なるシリーズを用いている。

キャブレター本体にはチョークのための装置は取り付けられていたが、デロルト製40mmキャブレターにはチョーク機構が設けられていなかった。 また、79年にデロルト製32mmキャブレターは、米国の法規に適合させるため、ジェッティング及び名称(PHF32CD/CS)が変更されている。

900SDにおける変更に伴い、79年末にはラフランコーニ製マフラーは採用されなくなった。 この代わりであるサイレンチウム製マフラーは、確かに形状がよくなったが、コンチ製マフラーには及ばなかった。 なお、前年までと同様に、コンチ製マフラーはオプションとして設定されていた。
 ・電装等
前年式に同じ。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
089705〜090537
エンジン形式DM860(D)
090151〜091430
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.3:1
最大出力73PS/7800rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25/85V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア280mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高838mm
全長2210mm
全幅691mm
重量205kg
ギア比 一次32/70
二次15/36
15/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
デロルトPHF32CD/CS
総製造台数833
80年式

 ・フレーム等
外装等には小変更が行われているが、80年においても大きな変更はない。 全てのSSは、デュアル・シートが標準装備となり、シングル・シートはオプションとなるとともに、燃料タップは、他のモデルで標準となっていた、グレーのパイオリ製プラスチック・タップとなった。

品質及び耐久性に問題があった、スピードライン製の5本スポーク・マグネシウム・ホイールは、この年式からFPS製6本スポーク・アルミ・ホイールに変更されている。 900SSに取り付けられた最初のFPS製ホイールは、ゴールドにペイントされていたが、リムはポリッシュされた仕様であった。 これらのホイールは一般的に、ブレーキ・ディスクは4穴の仕様であったが、いくつかのSSには6穴仕様のものも存在する。

多くの80年式900SSには、79年式750SS及び900MHRに採用された、ブレンボ製「ゴールド・ライン」ブレーキ・キャリパーが装着されている。 900MHRと同じく、リア・ブレーキ・ランプ・プレッシャー・スイッチは、マスター・シリンダーからブレーキ・キャリパー・アタッチメントに移動され、ラバー製のカバーが被せられていた。
 ・エンジン等
80年には2つのエンジン仕様の変更が行われている。

初めに900SS、900SD及び900SSDの間で、クランク・シャフトの統一が行われ、80年1月10日から、全ての900ccモデルのエンジンには、新しいクランク・シャフトが採用されている。 以前のSSが採用していた38mmのクランク・ピンを持つクランク・シャフトとの違いは、コンロッド及び内部潤滑システムのみである。 キック・スタート・モデルは、左側シャフトに2mmの潤滑穴がないクランク・シャフトを使用しているが、全てのクランク・シャフトが統一されたため、エレクトリック・スタート・ベアリングに潤滑するための穴をブッシュで塞ぐ必要があった。 コンロッドは、ビッグ・エンドの周りに2重の強化リブが立った仕様のままである。

2つめの変更は、垂直シリンダー・ヘッド・カムシャフトである。 レデューシング・ブッシュが潤滑穴に挿入されるとともに、変更されたカムシャフトには新しいパーツ番号が付与された。 レデューシング・ブッシュが新しいカムシャフトに取り付けられていない場合、エンジンに深刻なダメージが発生する怖れがある。 また、プラスチック製のオルタネータ及びイグニッション・エンジン・サイド・カバー・プラグも、500SLパンタに採用されたスチール製のものに変更されている。
 ・電装等
前年式に同じ。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
090538〜091742
エンジン形式DM860(D)
091431〜094135
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.3:1
最大出力73PS/7800rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25/85V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア280mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高838mm
全長2210mm
全幅691mm
重量205kg
ギア比 一次32/70
二次16/38
タンク容量18L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
デロルトPHF32CD/CS
総製造台数1205
81年式

 ・フレーム等
81年から83年にかけて、ドゥカティ社は不安定な時期であったため、この時期のSSの仕様には多くの矛盾がある。 78年、ドゥカティ社はVMグループの一部となったため、この時期、工場では多くのラインがディーゼル・エンジンを製造するために使用されており、ディーゼル・エンジンの製造数が大きくなるにつれ、モーター・サイクル部門は「利益になる」ディーゼル・エンジン製造に力を注ぐようになり、相対的にモーター・サイクルの品質は低下していった。

エンジンの組み立ては、しっかりした「工程管理」が行われおらず、最終型SSには、イグニッション・タイミングのセットアップが不良な例も見られる。 さらに、しばしば仕様と異なるスピード・メーターが取り付けられ、これらは非常に不正確であった。 また、デザインは改良されたが、多くのエンジン部品の品質が、初期型モデルの仕様よりも低下している。

81年、900SSはフラッグ・シップの座を900MHRに譲り、サポート的役割を果たすこととなった。 SSは初期型から基本的には変更されなかったが、1年後の製造中止まで続くモデルチェンジを受けた。

最も大きな変更は、デュアル・シートのスタイルが完全に新しくなったことであり、シート・ベースはフレームにボルト留めされるとともに、シート・パッドはシート・ベース後方のロックにより脱着可能となった。 この変更に伴い、シルバーに色合いの異なる3本のブルーのラインを持つカラーが採用されている。 フロント・カウルもブルーではなくシルバーとなり、同じくブルーのラインが入れられた。 また、全ての81年式900SSのフレームは、ブラックにペイントされている。

18リットルのスチール製タンクに変更はないが、燃料タップは79年式900MHRに採用されたものと同じ、パイオリ製のプラスチック・タップとなった。 サイド・カバーのデカールは以前と同じであったが、タンク・デカールは新しくなるとともに、タンク・キャップにはロックが取り付けられている。 しかし、以前のタンク(以前のデカールを持つ)が装着されている900SSも少数見受けられる。 フロント・カウルの「DESMO」デカールはなくなり、ほとんどのSSは、タンク上に「Made in Italy」デカールが貼られていない。 フロント・カウルへのメーター及びヘッドライトの取り付けは、以前のSSほど正確ではなく、このため、ヘッドライトの周りには、以前より大きなラバー製モールが取り付けられている。

ブラックにペイントされた38mmマルゾッキ製フロント・フォークの内部に変更はないが、左側フォーク・レグの下部にはイエローの「Marzocchi」デカールが貼られている。 フロント・マッドガードを取り付けるための4本のボルトのマウントは形状が変更され、トップ・トリプル・クランプにはマルゾッキ製を示す「M」のシンボルが鋳込まれていた。 また、フォーク・チューブ・トップにある、スレッデッド・スプリング・リテーニング・プラグは、取り外しに以前の12mmのアレン・レンチを必要とするものから、30mmレンチを必要とするものに変更された。

6スポークのFPS製アルミ・ホイールは、全てがゴールドにペイントされるとともに、6本のボルトで固定されるブレーキ・ディスクのみが取り付けられている。 81年7月(フレーム番号「090602」)まで、全ての81年式SSには、ブレンボ製「ゴールドライン」ブレーキ・キャリパーが取り付けられているが、これ以降は900SDと共用のブレンボ製キャリパーである。 これらのキャリパーはブリード・ニップルが1つだけであり、またプラスチック製のブレーキ・パッド・カバーを持っていた。
 ・エンジン等
81年を通じて、ベベル・ツインのラインナップ全体に、77年式900SDに行われた重要な変更を含む、いくつかのエンジンの改良が行われている。

エンジン番号「091267」以降、860GTから採用されているスチール製インナー・クラッチ・ドラムは、新しいものに変更された。 これに伴い、新しいクラッチ・スプリング及び長いアレン・ヘッド・ファスナー(M5×16)が採用されている。

81年初頭、74年式750SS以来、初めてバルブ・ガイド及びバルブ・ガイド・シールの変更が行われた。 以前のデスモドローミック・エンジンが、バルブ・ステム及びガイドをシールするのに、シングルのインナーOリングのみを使用していたのに対し、エンジン番号「091022」以降、通常のOリングに変更された。 どちらのシールも全てのモデルのガイドに取り付けることが可能であり、初期のエンジンのクロージング・ロッカーを改造することにより、新しいシーリング・システムとすることができる。

他の重要なエンジンの変更は、81年末、エンジン番号「092920」から行われている。 最初の750ccモデル以来、全てのベベル・ツイン・モデルに採用されていた6ドッグ・ギアボックスが、この時点で3ドッグ・タイプ(ドゥカティのツイン・レーサーは、77年から3ドッグ・タイプを採用している)に変更された。 この変更は900SSだけでなく、全ての900ccモデルに行われている。 新しいギアボックスの採用に伴い、以前のクラッチ・ハウジング及びプライマリー・ギアは、1セットとして供給されることになった。 81年式900SSのギアリングは、16歯のカウンターシャフト・スプロケット及び38歯のリア・スプロケットが指定されたが、15歯のカウンターシャフト・スプロケット及び36歯のリア・スプロケットを装着したものもある。

ワークショップ・マニュアルには、デロルト製PHF32CD/CSキャブレターのみが指定されていたが、多くの81年式900SSには、PHM40Aキャブレターが装着されていた。 これらはエア・フィルターを持たず、またサイレンチウム製マフラーが取り付けられている。 キャブレターからはティクラー・ボタンがなくなるとともに、40mmデロルト製キャブレターはチョークを持っていたが、ヘッドライトの横にチョーク・レバーを取り付けていた900MHRとは異なり、ホワイトのプラスチック製チョーク・レバーがタンク後方の左側に取り付けられている。 また、サイレンサー・ホモロゲーション・プレートは、以前と同様に右側サイド・カバーの下に取り付けられていたが、元々900SDに取り付けられていたサイレンチウム製マフラー用の番号となった(E3 9R−35869)。
 ・電装等
81年初期(エンジン番号「090915」から)、以前のものに代わり、500SLパンタに採用された新しいイグニッション・ピックアップ及びトランスデューサー・ターミナル・ブロックが取り付けられている。 点火コードは以前と同様のブラックのものであるが、プラグ・キャップはKLG製のものか、電気干渉を最低限に押さえたプラスチック・タイプの両方がある。

4段階イグニッション・アドバンス・カーブも変更され、900rpmで6度、1800rpmで16〜18度、2800rpmで28度、最大進角が4000rpmで32度となっている。 900SSのオルタネーターは、エレクトリック・スタート・モデルのものに取り付けられていたものとは異なっており、ローターは500SLパンタのものが取り付けられたが、ステーターは860ccモデルのものである。

ハンドル・スイッチは、900MHR及び900SDと共用された。 左側スイッチ・ブロックは、CEV製ではなく日本電装製となり、スロットル・アセンブリは900MHRと同様に、ブラックのベルリッキ製プラスチック・ユニットとなった。 その他(ベリア製メーター、後期型のCEV製ヘッドライト及びテールライト、900SD用CEV製インジケータ、ブラックのレバー及びベルリッキ製のハンド・グリップ)については、80年式と同様である。
・主要諸元・
フレーム形式DM860SS
091743〜092726
エンジン形式DM860(D)
094136〜096192
ボア×ストローク86×74.4mm
総排気量864cc
圧縮比9.3:1
最大出力73PS/7800rpm
タイヤサイズ 前輪3.50V18
後輪4.25/85V18
ブレーキ フロント280mmダブルディスク
リア280mmディスク
ホイールベース1499mm
シート高838mm
全長2210mm
全幅691mm
重量205kg
ギア比 一次32/70
二次16/38
タンク容量17L
キャブレターデロルトPHM40AD/AS
デロルトPHF32CD/CS
総製造台数335
82年式

 ・フレーム等
最後の製造年度は、前年式からマイナー・チェンジのみであるが、小さな不整合が生じている。

カラー及びスタイルは前年式と同じであり、多くの900SSにはプラスチック・メッシュのない、ABS製サイド・カバーが採用されているが、いくつかのSSは以前のサイド・カバーを装着している。 また、82年式900SSのいくつかには、左側リア・サブフレームに、センタースタンドをかける際の補助となる折り畳み式のレバーを持つ、ブラックにペイントされた900MHRのフレームが使用されている。

いくつかのSSには、パンタ及び900S2に倣って、大きく、角張ったフロント・マッドガードが取り付けられている(ペイントはシルバー)が、これらはリア・マッドガードも含めてファイバーグラス製である。 また、いくつかの900SSのチェーンガードは、ステンレス・スチール製ではなくなり、750Sと同様にブラックにペイントされたものとなっている。

82年式900SSの全てのフロント・カウルは、カウル上部を固定するためのアルミ製クロス・ブレースが取り付けられるとともに、カウル・サイドには「DESMO」デカールが復活している。

フロント・フォークの最終的な変更は、900S2のマルゾッキ製フォークと内部を共用したことである。 これにより、フロント・マッドガードのマウントが変更されただけではなく、フォーク・チューブが僅かに長く(590mm)なった。 これらは短いダンパー・ロッド(221mm)を使用し、フォーク・トラベルが140mmから130mmに減少している。 また、変更されたフロント・フォークは、ダンパー・ロッド・リテーニング・スクリューがM12×35mmから、M12×40mmと長くされた。 フォークの共用が行われているが、900SSのブレーキ・キャリパーは900S2とは異なり、フォーク・レグの前方にマウントされている。

この時期、900SSの販売は、900MHRに押されて難しくなり、いくつかの市場、特にオーストラリアでは多くが格安で販売されている。 900SSの製造台数は多く、また、いくつかの問題を持っていたが、大量生産されたドゥカティのうち、900SS以上のスポーツ・エッセンスを持つドゥカティは他にはない。 ドゥカティ社のデザイナーは、スーパー・スポーツのコンセプトを維持し続け、製造終了までの間、900SSには可能な限り多くのイタリア製部品が採用されている。 SSは長い期間、基本コンセプトを維持してきたので、マイナーな外装の変更でさえ困難であり、結局、70年代初期のコンセプトを維持し続けるキックスタート900ccツイン・モデルは、より洗練されたモデルを要求していた当時の世界から見れば、アナクロニズムを感じさせるものであった。
 ・エンジン等
大部分の重要なエンジンの変更は81年に行われているが、この年式では追加改良が行われている。 900S2に交代する前(エンジン番号「094150」から)、ブロンズ製のバルブ・シートが鋳鉄製に変更された(パーツ番号は同じ)。 また82年式900MHRと同じく、デロルト製40mmキャブレターに、新しくアルミ製のショート・ベルマウスが取り付けられている。

82年、900SSの完成車の製造は中止されたが、エンジンは83年まで製造が続けられ、エンジン番号「096000」シリーズの後半に及んだ。 8年間で10000台以上のSSのエンジンが製造されたが、最後のおよそ1000台は、SS以外のモデルに使用されている。
 ・電装等
クロムメッキされたベッリ製のホーンに代わり、82年式900SSでは900SDと同じく、ボッシュ製のブラックのものとなったほかは、変更はない。






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