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フレーム形状

(Frame shapes)


ベベルの話をしていると、「ナロー・フレーム」とか「ワイド・フレーム」とかいう言葉が出てきます。
直訳すれば「狭い・広い」ですから、「ナロー」の方が狭くて「ワイド」は広いんだな・・・ということは判りますが、それでは一体「どこが広くて、どこが狭いんだ?」ということになりますね?(^^;
また、雑誌広告などの「ベベル中古車情報」等を見ていると、「MHR改SS」「S2改SS」というのを見かけます・・・これも「MHRやS2をカスタムしてSS風にした」ということは理解できると思いますが、オリジナルとの違いはなかなか判らないのではないかと思います。
・・・というわけで、ベベルのフレーム形状の違いについて、お話ししてみようと思います・・・何かの参考になれば幸いです。


1. ラウンド・ケースのワイド・フレーム及びナロー・フレーム

ラウンド・ケース時代のフレームにはワイド及びナローの2種類があります。
750GT及び72年式の750Sは、ワイド・フレームを採用しており、73年式以降の750S及び750SSのナロー・フレームとは、「1」のマウント・ラグとリア・サスペンションの取り付け位置の関係から区別することができます。
ワイド・フレームはシート・レールの幅が広いので、結果として「1」マウント・ラグの「内側」にリア・サスペンションが取り付けられますが、ナロー・フレームでは「外側」に取り付けられます。
なお、750GT及び750Sと、750SSではサイド・カバーの取り付け方法が異なるため、「2」のサイド・カバー・マウント・ラグの向きが異なります・・・サイド・カバーのスクリューが、カバー表面から取り付けるられるようになっているのが750SS、カバーの縁で取り付けられるようになっているのが750GT及び750Sのフレームです。

2. ラウンド・ケースとスクエア・ケースのフレーム

ラウンド・ケースとスクエア・ケースのナロー・フレームでは、75年式750/900SS(スクエア)を除き、「←」のサイレンサー・マウント・ブラケットの角度で区別することができます。
左の上図がラウンド・ケース、下図がスクエア・ケースですが、上図のサイレンサー・マウント・ブラケットの角度が「鋭角」であることに対し、下図の角度はほぼ「直角」になっています。
ちなみに下図フレームのサイレンサー・マウント・ブラケットのボルト穴は、上図フレームより高い位置にあり、これに伴いコンチ製サイレンサーのマウント・ステーに「下駄」をはかせて調整しています。
従って、上図フレーム用のコンチ製サイレンサーは「ショート・ステー」、下図フレーム用のものは「ロング・ステー」となっています。
なお、例外として「75年式750/900SS」は、上図フレームを採用しています・・・ラウンド・ケース・モデルと75年式750/900SSの共通項は「右シフト、左ブレーキ」ですので、右シフトのモデルは全て上図フレームであると結論されます。
もう一度「←」の箇所を見ていただくと、下図フレームには「リア・ブレーキ・マスター・シリンダー」用のラグが取り付けられています・・・上図フレームでは、図には載ってませんがフレーム左側のリア・ダウン・チューブにラグがあります。
逆に言えば、左シフトのスクエア・ケース・モデルで、上図フレームのような形状となっているのであれば、それは「どこかおかしい(例えば、エンジン載せ換えやフレーム交換等を行っており、オリジナル状態ではない)」と判断することができます。

3. SSとMHR(ナロー)のフレーム

世に出回っている「SS風ベベル」で最も多いのが、おそらく「MHR改SS」でしょう。
購入者が納得している分には問題ないのですが、SSと思って購入したベベルが実は「MHR改」だったという話はよく聞きます・・・ショップが不勉強で知らなかった場合は、まだ「しょうがない」と思えなくもありませんが、「知っていて」SSとして販売するところもあるようですから(理由は簡単、SSの方が「高く売れる」からです)、購入する側としてもある程度の知識が必要になります。
左の上図がSSフレーム、下図がMHR(ナロー)フレームです。
MHR(ナロー)フレームは、SSのフレームがベースとなっているため、区別が付きにくいというのが「SS、実はMHR改」の流通に拍車をかけています・・・細かいところでは色々違いがありますが、一番分かり易いのは「1」シート・カウル・マウント・ラグの形状の違いでしょう(SSとMHRではシート・カウルの取り付け方法が異なります)。
ただし、これらのラグが加工され、またそれが「非常に丁寧な」作業で行われている場合は、フレーム形状から区別するのは難しくなります(通常の作業であれば、それらの「痕跡」が確認できると思います)。
このような場合は、フレーム番号シーケンスから判断するのが適切でしょう・・・実はこちらの方が簡単です(^^;
「モデル紹介」にも書いていますが、MHR(ナロー)の番号シーケンスは「900001〜」であり、900SSが「090001〜」ですから、フレーム番号が「9」で始まる6桁であればMHRであると判断できます。
なお、初期のMHR(ナロー)と900SDは、同じフレーム形式及び番号シーケンスを使用していますが、フレーム形状は全く異なりますので、これらを間違えることはないと思います(後出の900SDフレームと比べてみてください)。
また、初期と中期のMHRは、両方ともナロー・フレームですが、初期のMHRでは「2」のサイド・カバー・マウント・ラグがありません。

4. MHR(ナロー)とMHR(ワイド)のフレーム

MHRには大きく分けて「ナロー(上図)」と「ワイド(下図)」の2種類のフレームがあります。
ナロー・フレームは先述の通り、SSをベースにしたフレームですが、このワイド・フレームは細部を除いて900S2のフレームとほぼ同じです(フレーム形状の「系統」からすれば、860GT(E)の流れを汲んでいます)。
このワイド・フレームはMHRだけでなく、83年以降の全てのベベルに採用されることになるフレームですが、これは「セル・スタート・エンジン」の搭載に大きな影響を受けています。
スターター・モーターを動かすには、それまで使用されていたバッテリーでは容量が不足していたため、大容量のバッテリーを搭載する必要が生じました・・・バッテリー容量の増大に伴いバッテリー自体が大きくなりますので、これを搭載するため、ダウン・チューブに「1」の「逃げ」が必要になり、このダウン・チューブ幅の拡大にちなんで「ワイド・フレーム」と呼ばれます(余談ですが、ラウンド・ケース・モデル(750Sを除く)も含め、「ワイド・フレーム」を採用したモデルには全て「セル・スタート・エンジン」の仕様が存在します・・・即ち、ワイド化は「大型バッテリー」搭載のための「必然」です)。
その他、分かり易い相違点としては、「2」サイレンサー・マウント・ブラケットの形状の違い(ワイド・フレームでは、左側ブラケットが「センター・スタンド・リフティング・ハンドル」の役目を果たしています)及び「3」フロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント・ブラケットの形状の違い(ナロー・フレームでは「リング状」のブラケットですが、ワイド・フレームでは「板状」です)が挙げられます。
なお、900S2(前期)のフレーム(後出)とは、「2」の形状が異なっているくらいの相違しかありません(初期のS2には「専用のセンター・スタンド・リフティング・ハンドル」が装着されています)。

5. SSとS2(前期)のフレーム

「MHR改SS」の次に多いのが、おそらく「S2改SS」でしょう。
しかし、SS(上図)とS2(下図)のフレームの間には共通性は少なく、MHR(ナロー)の場合よりも比較的簡単に区別が付くと思います。
S2にはキック・スタートとセル・スタートの両方の仕様が存在しますが、フレームは同じであり、先述の通り、大容量バッテリーを搭載するため、「1」のように「ワイド・フレーム」になっています。
また、SSでは「2」のフロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント・ブラケットがリング状であることに対し、MHR(ワイド)フレームと同様に「板状」になっています(S2のフレームは、SS及び900SD(後出)のフレームを融合させたような形状となっていますが、どちらかと言えば900SDのフレームの特徴を強く受け継いでいます)。
なお、先述のように初期のS2は「専用のセンター・スタンド・リフティング・ハンドル」を持っていますので、「3」のサイレンサー・マウント・ブラケットがMHR(ワイド)のようにリフティング・ハンドルを兼ねた形状ではなく、SSと同じようになっています(83年式以降のS2は、MHR(ワイド)と共用されていますが、これらのフレームの違いはここだけです)。

6. 860GT(E)と900SDのフレーム

860GT(E)に端を発するフレームは、SSを除く全てのベベルのベース・フレームに発展しました。
特に900SDのフレームは、当初の860GT(E)に存在した欠点等に対応するために大がかりな改良が施されており、その剛性の高さからNCRレーサーのベース・フレームにも採用されたことは有名な話です(もし、マイク・ヘイルウッドのTTF1レーサーの写真をお持ちでしたら、下記を読んだ後にフレームの形状を比べてみてください)。
左の上図が860GT(E)フレーム、下図が900SDフレームです。
トップ・チューブとフロント・ダウン・チューブの間に補強が入れられていること、フロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント・ブラケットの形状が「板状」であること及びフロント・ダウン・チューブの先端が「く」の字に曲げられていること等に、これらのフレームの共通性が感じられます。
フレームの相違点として、まず目に付くのが「1」の補強の形状です・・・860GT(E)フレームの補強は「湾曲」していることに対し、900SDのそれは「真っ直ぐ」です。
また、「2」のように、シート・レール後端の形状も、860GT(E)ではきつく「跳ね上がって」いますが、900SDは緩やかに上げられています。
なお、「3」は、860GT(E)と860/900GTSのフレーム形状の相違であり、点線で描かれた「長い」シート・レールは860GT(E)、短い方が860/900GTSのフレームです。

7. 900SDとS2(前期)のフレーム

900S2のフレームは、SSと900SDのフレームを融合させたようなものですが、先述の通り、900SDの特徴が強く出ています。
最も大きな共通点は「ワイド・フレーム」であることです・・・両方とも「セル・スタート仕様」があることからすれば当然です。
また、フロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント・ブラケットの形状も「板状」で同一です。
これらのフレームの間の分かり易い相違点としては、「1」フロント・ダウン・チューブの先端が、上図の900SDでは「く」の字に曲がっていることに対して、下図の900S2では「直線」になっていることです。
更に「2」補強がS2にはありません。
細かいところでは、900SDは、シート座面部分のフレームが「下げられている」こと(足つきをよくするためです)、シート・レールが緩やかに上げられていること等が異なりますが、基本的な部分ではS2と共通性があります。
従って、S2のフレームは900SDを基本として、枝葉の部分をSSに合わせたものであると言えます。



これらを「独断と偏見」に基づき(^^;、分類すると下表(↓)のようになります。

ナロー・フレーム ラウンド・ケースのフレーム750S(73’〜)、750SS(〜75’)、900SS(75’)4から派生
SSのフレーム750/900SS(76’〜)1から派生
MHR(ナロー)のフレーム900MHR(〜82’)2から派生
ワイド・フレーム ラウンド・ケースのフレーム750GT、750S(72’)ナローのベース
860GT(E)のフレーム860GT(E)、860/900GTSワイドのベース
900SDのフレーム900SD、900SSD5から派生
S2(前期)のフレーム900S2(82’)2及び6の融合
MHR(ワイド)のフレーム900MHR/S2(83’〜)、ミッレMHR/S27から派生






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