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プラグ・ホール修正

(Plug Hole repair)


15.11.16(日)(天候:晴れ)〜11.22(土)(天候:晴れ)

実に3ヶ月に渡り「不調のまま」である我がベベル、「あっちを直せばこっちがダメ」という感じで、色々なところから不具合が発生しまくっています・・・つい3ヶ月前までは「実に好調」だと思っていたのがまるで「嘘」のようです・・・さてさて、色々と点検・調整等を実施しているうち、トラブルの原因は「点火系」に集約されてきたような感があります。
点火状況を確認するため、前後シリンダーのプラグの脱着を繰り返していたある日(10月中旬)のこと・・・リア・バンクのプラグ・ホールのネジが「妙に」渋いことに気付きました・・・もともと、ベベルのプラグ・ホールはあまり素直ではありませんが、この渋さは異常です・・・一旦締めたプラグを取り外してみると・・・プラグのネジ山に「スプリング状」の妙な物体が・・・?

「ぴーん」と来る方もいらっしゃると思いますが・・・要は「シリンダーヘッドのプラグ・ホールのネジ山が千切れて、プラグに絡まって出てきた」という図式です・・・ついにやってしまいました・・・「渋い」と思ったとき、無理しなければこういうことはないんですが・・・やってしまったものは仕方ありません。
バイク屋に相談すると「ヘッドを取り外さなくても済むなら1万円程度・・・一応、車載の状態で切粉が入らないように作業はするが、もしシリンダー内に入ってしまった場合はヘッドを取り外さなければならないので4〜5万円くらいかかる」とのこと・・・この差は実に大きいです(笑)。
ということであれば、ヘッド単体で持ち込めば料金は1万円程度「固定」ということですね・・・私はヘリサート等、ネジ穴修正ツールは持っていませんので、最終的な作業はバイク屋さん任せになりますが(ちなみにツール等を購入するより持ち込んだ方が安い・・・そうそう何度もお世話になるツールではありませんし)、ここは一つ、ヘッドを取り外して持ち込むことにしましょう。

フロント・バンクであれば、特に事前準備をしなくても車載のままヘッドを取り外すことができますが・・・今回は「リア・バンク」です。
一応、「エンジンを降ろして」作業する箇所となっていますが、まぁ「完全に」降ろしてしまわなくても、エンジン自体を「お辞儀」させればヘッドを抜くクリアランスは確保できます・・・面倒は少ない方がいいので(笑)、今回はこの方法を採用することにします。



エンジンを降ろすにせよ車載のまま行うにせよ、邪魔な外装等は(キャブも含めて)全て取り外す必要があります(写真上左)。

また、エンジンに繋がっている「モノ」は、当然ながら全て取り外します・・・まず、エキパイ及びサイレンサーを取り外します(上中)。
取り外したサイレンサー等は、ヘッドが出来上がってくるまで取り付けしませんので、きちんと整理して保管しましょう・・・その後、オルタネータ及びポイントの線を取り外す(上右)とともに、シフト・ペダルも取り外します・・・ブレーキ・ペダルは関係ありませんので、こちらはそのままで問題ありません。
本来であれば、クラッチ・ケーブルとタコメータ・ケーブルも取り外した方がいいんですが・・・ケーブル自体にかなり余裕があったため、今回は接続したままにしました。



エンジンに繋がる「モノ」が全て外れたら、いよいよヘッドを取り外す準備です・・・まずはリア・バンクのベベル・ギア・カバーを外し(写真上左)、両方のベベル・ギアに刻印されているポンチ・マークを合わせます(上中)・・・ここがリア・バンクの圧縮上死点になります。

ヘッドを取り外す準備はこれで終わりです・・・今度はエンジンを「傾ける」準備です。
実は先ほど、チェーンを弛めておくのを忘れてました(笑)・・・ここで弛めておかないと、チェーンが引っ張られて痛みますので忘れないように(上右)。
再度、エンジン周りから車体に向かう全ての「モノ」が外れていることを確認し、クランク・ケース前方にジャッキを噛ませます(下左)。



エンジン・マウント・ボルトは、エンジン前方、エンジン後方上部及び下部の3カ所にあります・・・車載のままリア・バンクのヘッドを取り外すのであれば、エンジンとフレーム間のクリアランスの関係から、エンジン後方下部のボルトを支点にします。
ということで、それ以外のボルトを外します(写真上中、右)。



ここまで来たら、準備OKです(笑)・・・フレーム(特にフロント・ダウン・チューブ)がエンジンに引っかからないように注意しながらジャッキを下げます(写真上左)。
下げる位置ですが・・・メイン・フレームとリア・バンク上部の間に、シリンダー・ヘッド分のクリアランスが確保できれば問題ありません・・・概ね上中写真くらいの位置になると思います。
なお、この位置までエンジンを傾斜させると、車用のパンタグラフ・ジャッキではほぼ「フル・ダウン」の位置になります。

さてさて、ここでシリンダー・ヘッド・ボルトを弛めて外せば、ヘッドは取り外せる状態になりますが・・・ここで問題発生。
ヘッド・ボルトは16mmですが、クリアランスが狭いために通常のメガネ・レンチをかけることができません・・・ということで、急遽手持ちのメガネ・レンチをグラインダーで数mm削って対応しました(上右、下左)・・・まぁ、別に高い工具ではありませんでしたし、工具の強度的にも問題はないと思われますので、以後「このまま」使用していこうと思ってます(笑)。



全てのヘッド・ボルト(4本)が外れたら、後はヘッドを抜くだけです・・・ベベル・ギア・ハウジング付近をゴム・ハンマーで何度か叩くとヘッドが浮き上がってきます(写真上中)・・・まぁ、ヘッドとシリンダーがくっついて、シリンダーも一緒に上がってくる場合もあります(ちなみに今回はそうでした・・・)が、なだめたりすかしたりしながら(笑)分離してください(リア・バンクの場合、フィンの方向から考えると、フィン側面をハンマーで叩くことになり、精神衛生上好ましくありません・・・ということで、上に出てきた「車用ジャッキのハンドル」が活躍しました・・・後端が短いバール状になっており、フィンの根元をこじることができます)。
なお、ベベル・ギア・シャフトはヘッド側に取り付けられていますので、ヘッドを持ち上げるとシャフトもくっついてきます・・・この分、フレームとの間に確保したクリアランスが厳しくなりますが、メイン・フレームの隙間を使ってヘッドを斜めにすれば、シャフト・カバーから抜けます(上右)。

ヘッドを取り外してみると・・・合わせ面から「オイルが吹き抜けた」ようになっていました・・・よくよく見ると、3つあるOリングのうち、一番小さいやつが「裂けて」いました(下左)・・・当然、要交換です・・・他のOリングは別に問題ないようですので再利用します(まぁ、せっかくですから交換するのがベターですが・・・)。

ヘッドはバイク屋さんに持ち込みますので、その間、開口面の保護が問題となります(うちはガレージがないので・・・)。
というわけで、キムタオルでピストン・ヘッド及びオイル通路を保護した後、ビニールを被せてガム・テープで固定しました(下中)・・・まぁ、数日間湿気と埃をガードできれば問題ありません(あぁ・・・ガレージが欲しい・・・)。
作業終了後は、フレームとエンジンが干渉しないように気を付けながらジャッキ・アップし、エンジンを元の位置に戻してエンジン・マウント・ボルトを取り付けます・・・まぁどうせ、ヘッドが出来上がったらもう一度降ろす必要がありますので、仮止め程度で大丈夫です。

ヘッドを取り外すまでの作業時間は、外装の脱着を含めて概ね3時間というところでした。



約1週間後、ヘッドのプラグ・ホール加工が出来上がってきました・・・実は外したときに写真を撮るのを忘れていて(笑)、上右の写真は加工終了後のものです・・・右側の大きいバルブがインレット、左側の小さい方がエキゾースト・バルブです・・・以前の状況の写真を撮っていないので比較しようがありませんが、プラグ・ホールはきっちりと修復されています。

     

さて、いよいよ「取り付け」です・・・クランクが動いてなければ、位置関係は以前と同じはずですが・・・シリンダーが浮いたり戻したりをしているうちに、間違いなくクランクが動きます。
クランクからシャフトを介してヘッドのベベル・ギアまで、全てが同じギア比であれば特に問題はないんですが・・・カムに付いているギアとシャフトに付いているギアの歯数は異なっており、その比は4:3です・・・即ち、シャフトが4回転する間にカムは3回転しか回りません(ちなみに言うまでもありませんが、クランクは6回転ですね・・・4ストローク・エンジンではクランク2回転で1行程が終了します)。
ベベル・ギア・シャフトは2分割されており、半月状の「切り欠き」で位置合わせを行っていますので、ヘッドのベベル・ギアのポンチ・マークを合わせた位置(写真上左)で、上下のシャフトが「合う」位置は「4回転=4カ所」あることになります(ギア比と行程から計算すると、次の4通り)。
1.圧縮上死点(正しい位置)
2.吸気下死点(ピストンが上がりだしてから排気バルブが開く)
3.排気上死点(ピストンが下がりだしてから吸気バルブが開く)
4.膨張下死点(ピストンが上がりだしてから吸気バルブが開く)
正しい位置である「圧縮上死点」は、言うまでもなくその直前に「点火が行われる」位置ですので、点火タイミングを確認して位置合わせを行うことになります・・・ラウンド・ケースの場合、点火タイミングは「ポイント」を見ることで確認できます。
上右写真が、その「タイミング」になります・・・上のコンタクト・ブレーカーがフロント・バンク、下がリア・バンクで、ポイントはコンタクト・ブレーカーが「開いた瞬間」に放電します・・・中央のポイント・カムは「反時計回転」しますので、下のポイントがカムに乗り上げた位置が、点火タイミングとなります。
圧縮上死点は「その直後」ですので、ヘッドのポンチ・マークと点火タイミングの位置を合わせてからヘッドを乗せ、ヘッドを軽く押さえながらクランクを少し動かすと正しい位置に「すこっ」と納まります(もちろんシャフトとポイント・カムとの回転比も、ベベル・ギアとの場合と同様に異なりますので、半月状の切り欠き位置が合うようにしておく必要があります・・・これもシャフト4回転につき、1度しか合いません)。
シリンダー・ベース及びシリンダー・ヘッドの会わせ面に「液体ガスケット」を塗ることを忘れないように・・・



シリンダー・ヘッドが正しい位置に納まったら、スタッド・ボルト付近をゴム・ハンマーで叩き、クランク・ケース、シリンダー及びヘッドを密着させます(写真上左)。
ただし、ヘッド・ボルトの何本かは、これらが完全に密着した状態ではスタッド・ボルトとのクリアランスが取れないため、ある程度ヘッドが下がった状態でヘッド・ボルトを仮留めしておく必要があります・・・完全に密着させたらヘッド・ボルトを締め込みます。

ここまで来たら、後は「元に戻す」だけです・・・ほぼ取り外したときの逆手順ですが、ベベル・ギア・カバーへの液体ガスケットの塗布(上中)及びエンジン固定後の「バッテリー・マイナス端子の接続」(上右)を忘れないよう・・・また、エンジンを「上げる」際に、フレームの右側フロント・ダウン・チューブのエンジン・マウント部とクランク・ケースがやや干渉しますので、ジャッキ・アップさせつつ位置合わせをすることに気を付けましょう。

最終的には、配線やケーブル等をタイラップで固定して、外装を取り付ければ完了となります・・・作業に慣れたせいか(笑)、取り付け時間は取り外しよりも短く、2時間少々でした。

後日談1: さてさて・・・「偉そうに」書いてますが、実は11月22日に作業した際「圧縮上死点」と「排気上死点」を間違えて組んでしまいました・・・このときはベベル・ギアとシャフトの「ギア比」について何の注意も払ってなく、「ピストンが上がっていてシャフトの”切り欠き”が合っていれば問題ないだろう」と安易に考えてました。
その結果として・・・エンジン始動と同時にリア・バンクのキャブが激しく「咳きこみ=バック・ファイア」を起こし、慌ててエンジンを停めるという事態になりました・・・「エンジン」と言えば非常に精度が大切な部位で、一歩間違えれば一瞬にして深刻なダメージを与え得ます・・・このような「いい加減な」作業をしないよう、十分注意してください。
はっきり言って「恥」となるミスですが、反面教師として書き残しておく次第です。

後日談2: 11月23日(日)、再度ヘッドを外して正しい位置に組み直しました・・・今回はタイミングを何度も確認し直して「万全の態勢」です。
キック2発目で始動・・・これまで発生していたアフター・ファイアやアイドリングの不調も影を潜め、いい状況になっているようです・・・8月24日のキャブレター清掃に端を発した一連の「トラブル」は、一応、これで一段落したようです・・・これまでに発生したトラブル及び対処は、次の通りとなります。
1.アフター・ファイア発生: キャブ・フロート交換、油面調整
2.フロント・バンクのプラグ失火: ポイント・コンデンサー交換
3.充電不良: レギュレータ換装、バッテリー交換
4.リア・バンクのプラグ失火: コンタクト・ブレーカーのショート修正
5.プラグ・ホールのネジ舐め: プラグ・ホールのリコイル
・・・出も出たり(笑)・・・しかし、こんな短期間に「まとめて」出ることもなかろうに・・・

後日談3: 12月16日(火)、ベベルで通勤し、昼休みにプラグの状況を確認しようとしたところ・・・「リコイル」が「プラグ毎」抜け出てしまいました・・・というわけで「再発」です。
12月18日(木)、バイク屋さんに職場から家までベベルをピックアップしてもらい、12月24日(水)に再度ヘッド取り外し、12月26日(金)に持ち込んで、今度はかなり「強力な駒」を打ち込んでもらうことになりました・・・年明けの1月11日(日)に再度組み込んで修復完了・・・このときに合わせてダイナSキット取り付けを行っていたんですが、ここでまた新たな「試練」が発生することになりました(笑)・・・その辺の詳細は「各種節電計画」をご覧下さい。

後日談4: さてさて、プラグ穴の再修理完了後、ダイナS取り付けによると思われるバッテリー充電圧低下の処置も概ね一区切り付き、残すはキャブの微調整という段階になったわけですが・・・3月17日(水)のベベル通勤途中、「強力」と謳われていた駒がまたもや「吹き抜け」ました・・・「ええかげんにせえよ!!」という感じです・・・
早速バイク屋さんに相談すると「アレでダメなら、内燃機屋さんでアルミのカラーを打ち込んでもらうか、または肉盛りして削るか」のどちらかしかないということです・・・というわけで、またもやヘッド取り外しで持ち込むという事態に相成りました・・・既にヘッド脱着は「プロ級」です(笑)・・・嗤うしかありません・・・

後日談5: 吹き抜けが再発したベベルのヘッドですが、3月27日(土)に取り外してバイク屋さんに持ち込み、修理完了後、4月11日(日)に何度目かの取り付けを実施しました。



バイク屋さんの説明では「内燃機屋さんでは結局、アルミのカラーを削り出して打ち込む形になった」とのことです・・・ついでに内燃機屋さんに発注するに当たっては、ヘッドの全バラが必要だったそうで、その分解組み立てのついでにバルブ・シール交換及びデスモ・シム調整を行ったということでした。
・・・で、上の写真ですが、左が発注前、中が発注後の燃焼室内の状況です・・・実に綺麗になってますね(笑)、まぁ「必要に迫られて」ということだったんでしょうが、こういう状態で受け取ると気分がいいです・・・右の写真は外側から見たプラグ穴ですが、これまでよりもあからさまに「丈夫そう」です(笑)・・・まさかこれが吹き抜けることはないでしょう・・・と信じたいところですね。

後日談6: もはや「後日談は増えまい」と信じていたんですが・・・4月24日(土)、前回の取り付けから僅か2週間で再発してしまいました・・・当然、クレーム処理ですが・・・いい加減、ヘッドの脱着は飽きました(笑)。
5月7日(金)にまたもやヘッドを持ち込み、5月24日(月)にヘッド装着・・・「今度こそ頼むよ、おい」という心境です。

今回、作業してもらったヘッドは、基本的には前回同様にアルミのカラーを打ち込んだ形ですが、燃焼室側から溶接を行っています・・・今度こそ大丈夫でしょう・・・と言うか、次「抜けたら」多分「キレ」ます(笑)。
「これで最後」という祈りを込めて(笑)、これまでの作業を「並べて」みました・・・上左がヘリサート、中がアルミ・カラー打ち込み、そして右が打ち込み+溶接の状況です・・・もう「増えるなよ」・・・

後日談7: 車検のため、7月31日(土)にバイク屋さんにベベルを持ち込み、8月21日(土)に引き取りに行きました・・・その時の出来事です。
整備士さんが最終確認のためにプラグを確認しようとしていたときに・・・またもや「再発」しました・・・さぁ「キレ」ましょう(怒)。 まぁ「不幸中の幸い」と言うか、バイク屋さんの整備工場内での再発でしたから、相談の上、バイク屋さんが無償で分解・修理するということで決着、そのまま帰宅と相成りました。
空けて9月11日(土)、「今度こそ」の思いを胸に(笑)、バイク屋さんにベベルの引き取りに行きました・・・結局、アルミのカラーの「ネジ」に充填剤を詰めて、面接触で強度を稼ぐという方法を採用したそうです・・・多少不安が残りますが「プラグを思いっきり閉め込まなければ大丈夫でしょう」とのこと・・・その言葉を信じるとしましょう・・・







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